U9バルサの試合から見えた“本質”と基礎の大切さ

つい先日、小学3年生以下のチームの試合をYouTubeで観ました。相手はあのバルセロナのU9。正確に言えば、実際はU8の選手が多かったようですが、その試合内容は、区内のU12以上に匹敵する戦術理解と判断力を感じさせるものでした。

試合のポイントを、いくつかに分けて紹介します。


①フォーメーションと狙い
この試合では7人制が採用されており、バルサ側は1-3-2-1の布陣。相手はバルサの攻撃をある程度受けることを想定し、中央を厚くすることで、あえてサイドに攻撃を誘導する守備を仕掛けていました。


②前半の可変と柔軟性
バルサは序盤DF3枚でスタート。しかし、相手が前からプレッシャーをかけてこないと判断すると、ボランチが下がりCBと2人でビルドアップを開始。SBは高い位置を取り、深めのV字型を形成します。
この形は、相手の中盤を外に引き出し中央にスペースを作る、もしくはSBを前に出させて裏を突くための構造的な狙いが込められていました。


③ピッチ状況を活かした判断力
雨で滑りやすくなったピッチの状況も無視せず、バルサはGK手前でバウンドするロングシュートを選択。1本目はFWが詰めきれなかったものの、2本目ではしっかりと詰め、状況に応じた修正力と柔軟性を見せていました。


④後半の変化と再適応
後半、相手が高い位置からプレッシャーをかけてくるようになると、バルサは再び3バックへ。相手の帰陣が遅ければ2人でボールを運び、奪いに来る相手には3枚+GKで保持を徹底。
SBは今度は浅めのV字型でポジショニングし、相手を前に引き出しておいて背後を狙う。ギャップが生まれれば、すかさずドリブルで侵入。8〜9歳とは思えないような判断の早さで試合を支配していきました。


⑤印象に残った「ドリブルの考え方」
バルサの選手たちは試合を通じて、「相手が来たらパス(fijar)」「相手が来なければ前進のドリブル(conducción)」を徹底。
つまり、相手が来ていないのに無理にパスを出すことはしないし、ドリブルで“とにかく抜く”という発想もありません。むしろCBやSBでも状況を見てドリブルで前進する選択肢を持っている
。この判断の質は、日本ではジュニアユースやユース年代でもまだ難しい選手が多い部分です。


試合を観て改めて思ったのは、「戦術以前に、状況に応じたプレーの原理原則をどれだけ理解しているか」がとても大切だということです。

PROFESSOには、様々なクラブから選手たちが通ってきています。だからこそ、考え方や戦術理解にバラつきがあるのも自然なこと。でも、そうであっても「今、何をするべきか?」という基礎となる判断の軸は共通でなければいけません。

そして、それを小学生のうちからしっかり育てているのが、まさにバルサの選手たちだと感じさせられました。ドリブルが上手い、パスが正確、という「技術」の前にある、「目的に応じた選択」が自然にできている。しかもそれを、まだ8〜9歳の選手たちが実行しているという事実に、私たち大人が学ばなければならないのかもしれません。

三角 康晴

三角 康晴

サッカーを通して、スポーツの素晴らしさ、仲間の大切さを伝えたい

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