小学6年生になると、自分が進学する予定の公立中学校にサッカー部があるかどうかも含め、「中学生になってもどこでサッカーを続けるのか」を考える時期がやってきます。
クラブチームへの進学を考える子どもたちは、練習会やセレクションに参加しながら、自分に合った環境を探していくことになります。
この時期のクラブ選びは、単に「どこでサッカーをするか」を決めるだけではありません。
選手として成長することはもちろん、一人の人間として成長していく大切な中学生年代を、どのような環境で過ごすのかを選ぶ機会でもあります。
今年、私はジュニア(小学生)年代の監督という立場でありながら、ご縁がありジュニアユース(中学生)年代のコーチとしてセレクションに関わる機会をいただきました。
また、他クラブの監督や代表の方々と意見交換をする中で、改めて「セレクション」そして「クラブ選び」について感じたことがあります。
「ここに決めたい」と思える情報は十分にあるだろうか
もし私が保護者の立場だったとしたら、実は「ここ!というクラブ選びの決め手がなかなか見つからない」というのが本音ではないかと思います。
多くの選手や保護者がまず知りたいのは、
「中学生になってもサッカーを続けられる環境が近くにあるのか」
「どのような指導をしているのか」
「どのくらい試合に出場する機会があるのか」
「どのような3年間を過ごせるのか」
といった、実際にそのクラブで活動するうえで必要な情報ではないでしょうか。
一方、クラブから発信される情報を見ると、
「○○クラブと試合をしました」
「クラブOBが強豪校の○○高校へ進学しました」
「卒団生の○○選手がインターハイで活躍しました」
といった実績に関する内容が中心になっているケースも少なくありません。
もちろん、こうした情報もクラブを知るうえでは大切です。
しかし、これからクラブを選ぼうとしている選手や保護者が本当に知りたい情報との間には、少し距離があるようにも感じています。
「合格通知」をクラブ選びのゴールにしない
多くの小学6年生にとって、セレクションを受けること自体が初めての経験です。
初めて参加したセレクションや練習会で「合格通知」をもらえば、当然うれしいでしょう。自分を評価してもらえたという喜びもあると思います。
ただ、そこで一度冷静になって考えてほしいことがあります。
「この合格通知は、どのくらいの人数に出されているのだろう?」
ということです。
例えば、1学年30〜40人もの選手が在籍する大所帯のクラブであれば、入団辞退なども想定し、実際に確保したい人数より多くの選手へ合格通知を出している可能性もあります。
だからこそ、「合格した」という事実だけではなく、入団後に自分がどのような環境でプレーすることになるのかまで考えることが大切です。
所属人数と「試合に出られる環境」を確認する
1学年に30〜40人の選手がいるクラブであれば、Tリーグなどの公式戦にA・Bの複数カテゴリーでエントリーしているのか、それとも1チームのみなのかも確認しておきたいポイントです。
私は以前から、実戦で得られる経験には大きな価値があると考えています。
強豪校や強豪クラブに所属していても3年間ベンチで過ごすのか。
それとも、一つカテゴリーを落としてでもレギュラーとして公式戦に出場し続けるのか。
勝つか負けるか分からない、本気の緊張感の中で試合を経験すること。
そして、その試合に出場するために日々の練習で仲間と競い合うこと。
こうした経験が、選手を大きく成長させてくれると私は考えています。
「どのカテゴリーに所属しているか」だけでは見えないもの
サッカーは11人で行うスポーツです。
だからこそ、クラブの名前や所属カテゴリーだけを見るのではなく、1学年に何人の選手が在籍しているのか、その中でどのくらい実戦経験を積めるのかを冷静に考える必要があります。
例えば、T1のクラブに所属しながら3年間ベンチで過ごす場合と、T3のクラブでレギュラーとして多くの公式戦を経験する場合。
将来を考えたとき、必ずしも「上のカテゴリーに所属していること」だけが選手としての評価につながるとは限りません。
また、トップチームがT1・T2などの上位カテゴリーに所属していたとしても、自分自身がセカンドチームでプレーしているのであれば、トップチームの選手とまったく同じ評価を得られるとは限らないのが現実です。
大切なのはクラブの看板ではなく、その環境の中で自分自身がどのような経験を積めるのかという視点ではないでしょうか。
大切な3年間だからこそ、いろいろな視点から選んでほしい
「強いクラブだから」
「人気のあるクラブだから」
「有名校への進学実績があるから」
もちろん、それらもクラブ選びの一つの判断材料です。
しかし、カテゴリーや実績だけでクラブを選んでしまうことには、少し注意が必要だと思っています。
所属人数はどのくらいなのか。
公式戦に出場できる機会はどのくらいあるのか。
どのような指導方針なのか。
自分の特徴を伸ばせる環境なのか。
そして、3年間を通して人として成長できる場所なのか。
クラブ選びには、もっとたくさんの視点があります。
中学生年代の3年間は、お子様にとって大切な時間です。
もし進路やクラブ選びについて悩んでいることがあれば、たとえ進学先として考えているのが他クラブであっても、遠慮なくご相談ください。
「強い」「人気がある」「進路実績がある」という尺度だけではなく、その子にとってどのような環境が一番良いのか。
一緒に考えていければと思っています。