日本全国に数多くのクラブやスクールがあり、たくさんの指導者が現場に立っています。私もその一人です。
指導者としてのスタートは決して早い方ではなく、気がつけば10年を超えました。それでもなお、日々のトレーニングや目の前の子どもたちから学ぶことばかりです。
正直に言えば、「今日の指導は完璧だった」と思えた日はほとんどありません。
「次はここを変えてみよう」「コートはもう少し狭い方が良かったかもしれない」「強度を上げるためにどんな工夫が必要だろうか」――そんな振り返りの連続です。課題が生まれること自体が、指導の日常なのだと思います。
多くのスクールやクラブで目にするのが、コーンドリブルやパス&コントロールといった“クローズドスキル”のトレーニングです。これは思い通りに身体を動かす能力や、動きながら次のプレーを考える力を養うために欠かせません。
しかし、その後すぐに相手を含めた“オープンスキル”、つまり予測しにくい状況に対応するトレーニングへ移行してしまうケースが非常に多いように感じます。
おそらくこれは、日本の指導者にとって自然な発想なのでしょう。以前の私も同じ考えでした。
ただ、その移行の間には本来いくつかのステップが存在するはずです。その段階を踏まずにトレーニングを進めてしまうと、選手たちは「相手が入った途端に、今までできていたことができなくなる」という壁にぶつかります。これは多くの選手が経験してきたことではないでしょうか。
トレーニングは“できることを増やす場”であるべきで、“できないことを突きつける場”になってはいけません。
オープンスキルトレーニングへ移行する前に、しっかりと間に入れておくべきステップがあると私は考えています。そこを飛ばして実戦形式へ進めば、選手にとっては一気にハードルが上がったように感じてしまうはずです。
もちろん、それは選手の問題ではありません。
目の前の選手たちにとって何が適切なのかを見極め、段階的にアプローチしていくことこそが、指導者に求められる役割です。
成長を引き出すのはトレーニングの量ではなく、“設計”です。
だからこそ指導者は試行錯誤を繰り返しながら、選手が一歩ずつ前に進める環境を整えていかなければならないのだと思います。